優良企業の紹介

時代に合った企業のあり方を追求し
震災で失われた石巻の水産業界の復興と
地域の雇用促進の役割を果たす

ミツワフーズ株式会社

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お話をお伺いした方

  • 代表取締役社長/高橋秀樹さん
    「会社に必要だから採用する。うちにいらない人は誰もいません、と伝えます」
  • 営業二部部長/野田義孝さん
    「社長の考えでやってきて、認証に必要な基準を当たり前にクリアしていました」

「ミツワフーズ株式会社」は1993(平成5)年設立。「人々と豊かな生活を分かち合う」ことをミッションとして掲げ、「塩たらこ加工日本一」だったかつての石巻の自負を取り戻すことを目指しています。

高橋さんは震災の年、10月に代表取締役社長に就任。企業の再建や復興には人の力が重要であると訴え続けてきたと言います。目の前の利益に捕らわれることなく、未来の会社の飛躍を信じて歩んできた、震災後の9年間についてお伺いしました。

Interview企業インタビュー

Q1「みやぎ働き方改革支援制度」申請の経緯を教えて下さい。

代表取締役社長の高橋さん

野田さん:働き方改革は社長の考えを元に、震災前から取り組んでいました。「みやぎ働き方改革支援制度」も社長が見つけ、うちがやってきたことと基準を照らしてみたらすべてやっていると分かり、申請しました。

高橋さん:水産加工業界での人材確保の難しさは慢性的な課題でした。その課題を解決して会社を発展させていくためにやらざるを得ないことに取組んできたということであり、「働き方改革」という意識はありませんが、自分たちが積み重ねてきたことを具体化できるようにしてくれた制度と感じています。優先調達制度への登録ができたり、求人でアピールできるなどメリットが多いとも思っています。

Q2人材確保の難しさを解消できたのは、具体的にどんな理由があるのでしょうか。

高橋さん:震災後はマイナスからのスタート。「今まで通りではだめだ」と強く感じました。持続可能な会社にするためにどこから攻めるかといえば、「会社の体制」これしかないです。やってきたことすべて捨てるぐらいの気持ちでした。

野田さん:契約している社会保険労務士の指導で就業規則を作成し、休暇の取り方など、従業員の働き方について様々なことにトライ。すべてを受け入れて取組む気持ちでした。働きたい時間を個人がチョイスするうちに休み方も自然とパターン化し、同じような流れで有給休暇も時間単位で取れるようにしました。誰が休んでもローテーションなどで仕事が回るようにするのが我々の仕事です。毎日の生産計画をどう実行するか、毎月の生産目標をどのようにクリアするかについて、現場のサブリーダーと共に考え、共有しながら取組んでいます。
社長と私は研修に出向いたり、安定所の指導を受けたり、雇用について一から学びました。どうやったら雇用が上手くいくのかをとことん考え、行動してきた結果、離職する人がほとんどいない状態になりました。就業規則は度々見直し、従業員がいつでも見られる状態にしています。

高橋さん:現在は「明日1時間遅れて出社したい」というようなことも、私が全部認めて総務にあげるだけです。細かいことや堅苦しいことは言わない。残業も基本的にやらないことを平準化しています。
雇用形態も個人が決めます。社会保険に入りたい人は入ってもらうし、扶養範囲内で働きたい場合もその希望に沿います。目標生産量がクリアできれば問題はないのです。個々のライフスタイルに合わせて働き方を決め、会社に来た時は目標に向かってチームでやる。シンプルにやってきて、ひとりひとりの主体性が発揮されているのが人材確保可能になった理由ではないでしょうか。

「有給・欠勤届」を利用して柔軟に休みを取ることができる体制

Q3従業員の皆さんの意識を高めるため、気を配っているのはどんなことでしょうか。

営業第二部部長・野田さん

野田さん:入った人がすぐ辞めるという時代もあり、その理由は分かりませんでした。組織づくりをしたことによって、誰から指示を受ければいいのか、誰に訴えればいいのかが明確になり、コミュニケーションが取りやすくなったことはその当時と違う点だと思います。そのおかげで、世代、性別を問わず、対等な関係のまま、それぞれが役割を果たすことができ、入社2年目の従業員がリーダーになることも実現しています。

高橋さん:各リーダーの指示は私の言葉と同等です。若いとかベテランとか、そのようなことは関係ありません。「うちにはいらない人は一人もいません」というメッセージをいつも伝えます。利益が出ているのであれば当たり前に従業員に還元する。ベースアップについて伝えるためにも雇用契約書を毎年交わし、同意の判をもらっています。一緒に働く人たちを何とかしたいという思いを具体的に表すことしか、やる気にはつながらないと考えています。

Q4ホームページでも「地域の雇用促進の役割を果たす」と宣言されています。その言葉に込められた思いや、今後取組んでいきたいことを教えて下さい。

高橋さん:廃墟となった工場で瓦礫の片づけを手伝ってくれる従業員や各地から駆けつけてくれたボランティアの方々、励まして下さるお客様や地域の方々に勇気を頂き、そのような強い思いが沸き上がりました。移転が絡んで大きな助成が受けられないなど、多くの困難がありながらもその思いを失うことなく、自分たちの足で歩んできて今日があります。従業員の力がなければ実現できないことでした。

野田さん:復興もままならない状況の中、この土地で企業が選ばれ続けていくには、今までのあたり前を見直し、チャレンジを続けていく必要がある。様々な指導、支援は受けていますが、特効薬はなく、長いスパンで考え自分たちでやっていくしかありません。弊社の売上は右肩上がりになっています。あとは業績をあげ、より発展していきたい。

高橋さん:この9年で我々の足腰は強くなりました。まだまだ伸びしろがあるとも感じています。新商品の開発などやりたいことはたくさんありますが、まずは人を育て、より強固な基盤づくりに力を注ぎます。そしてこれからも、従業員と共に「日本一のたらこ・辛子明太子」を全国に届け続けていきたいと思います。

まとめ(編集後記)

「人と組織」について繰り返し語る高橋社長と野田さんのお話からは、復興の歩みに人の思いや力がいかに必要であったかということが伝わります。企業が持続可能であるためには「人と組織」、そして「地域で雇用が生まれること」が必要不可欠であり、その課題を地域全体で考えることが必要な時代になってきていると感じたインタビューでした。