優良企業の紹介

働き方に込められた「しっかり生きて欲しい」というメッセージ
ひとりひとりが丸ごとの人生に向き合える企業を目指して

和光技研工業有限会社

  • #短時間労働
  • #コミュニケーション改善
  • #オフィス改善
  • #育児・介護との両立
  • #スキルアップ

お話をお伺いした方

  • 代表取締役社長/渡辺琢也さん
    「今のままで良いと思う人も巻き込んで、働き方を変えて良かった、という結果にしていくことは初めから決意していました」
  • 取締役会長/渡辺惣吉さん
    「この10年で社内環境が大きく改善されたと感じています」

自然豊かな環境の中、NC自動旋盤加工を通して、地元はもちろん、東日本の精密部品供給を支えてきた「和光技研工業有限会社」。高精度・高生産性を追求するという基本方針に沿って、昭和52年の創業より、3代に渡って技術の継承・研鑽を続けてきた企業です。注目すべきは、ユニークな発想で従業員満足度を維持し、15年間離職率0%をキープしているというその社風。独自のアイディアが従業員の主体的な行動を促し、自然な形でそれぞれのワーク・ライフ・バランスが実現しているようです。

Interview企業インタビュー

Q1「働き方改革実践企業紹介」を拝見すると、ユニークな取り組みで認証に繋がっているようです。

3代目として社長に就任したばかりの渡辺琢也さんと会長の渡辺惣吉さん

渡辺惣吉さん:今年10月に社長を息子に引き継ぎましたが、これまで専務の立場で新しいアイディアを考案し、斬新な形で古いあたり前を変えてきてくれました。従業員は「多能工」となって仕事の流れがスムーズになり、会社としてお客様との話し合いもできて生産調整もできるようになり…と、気が付いたら認証に必要な条件をクリアしていたと分かり、申請しました。

渡辺琢也さん:予定を前倒しして余裕ができた時に設ける「自由な金曜日」はユニークな取り組みの代表と言えると思いますが、根底に「自分の人生を自分で決められる人と仕事がしたい」という気持ちがあります。それを実現するにはそれぞれが自分の働き方に裁量権を持つことが重要と感じ、“自由”を保障しています。ゆっくりと時間をかけて、自分自身で最適な働き方を考えることが定着してきてきました。そのことが仕事への主体的な姿勢にも繋がり、会社の業績も順調に推移しています。

Q2働き方改革をどんなきっかけでスタートし、どのように進めてきたか、具体的に教えて下さい。

工場内の様子。専門性を必要とする機械が並び、ひとりひとりのスキルを活かして業務が進められます

渡辺琢也さん:10年前に入社した際、忙しくない人は定時で上がっていて、決まった人が残業しているということに、強い違和感を持ったことがきっかけです。全体で見ると順調なようだけど、よく見ると特定の数名だけが忙しく仕事をしている。原因は「個人商店化」でした。それぞれ専門性が必要なので「自分の仕事」という意識が強く、責任を持って取り組むことで「その人しかできない仕事」になっていたのです。

渡辺惣吉さん:他部門の仕事もできる「多能工」を目指すところからはじめましたが、一生懸命な社員ほど「今のままで良いのでは」という意見があり、その不満解消は苦労がありました。多能工化によって自分の仕事を引き継いでくれる人とのコミュニケーションが必要になります。社員にとって仕事の流れが変わることへのストレスは大きかったようです。

渡辺琢也さん:リーマンショックの影響で残業がなくなっていた時だったので、通常の仕事量に戻った時にも残業なしでいけるようにしようと呼びかけながら進めました。
有給取得率も2割と大きな課題でした。個人商店の状態だと「自分の仕事がなくなるわけではなく休んでも良いことが無い」という意見。仕事が終わっていて、皆が一斉に休むなら…ということで「自由な金曜日」をスタートすることになりました。進行状況を見て月曜の時点で「自由な金曜日」の宣言をしますが、皆で終わらせて休もうという雰囲気になり多能工化にも効果がありました。「自由な金曜日」は何をしても良く、出社も退社も自分の都合で決めます。実際は有給消化に使う人が多いですね。「自由な金曜日」に限らず時間休も対応しています。子育てや介護でカツカツの人もいるので、経営側は常に「言ってくれたら何とかする」という姿勢です。
このように個々の課題に向き合いながら、10年かけて「個人商店」の解消ができ、今は「急な休みもお互い様」と言える状態にまでなりました。

Q3副業、兼業を推進していくということですが、その進め方や目的を教えて下さい。

「この会社にいる理由は、それぞれの社員が決めること」と渡辺琢也社長

渡辺琢也さん:新型コロナによる計画休業をきっかけに3名のダブルワークが始まりました。合わせて週40時間を超えないようにという労働基準監督署の指導があり、就業先との情報共有や調整も含め、弊社で都合がつくことは基本的に全部やることにしました。新しく作成した就業規則にも記載。申請書も作成して、社員にアナウンスしています。
弊社の社員は休みがしっかり取れていて残業もなく、時間がある。これを活かして充実した日常を過ごして欲しい。制約があってもこの仕事がしたいとか、マルチな働き方にチャレンジしたいという、新しい人材とのマッチングに対するメッセージでもあります。スキルを活かせる仕事はより稼げるので、同業他社で副業をすることも推進したい。「和光技研工業」を舞台に、それぞれの人生を精一杯生きることができる。そんな未来を描いています。

Q4働き方改革によって会社は変わりましたか。また今後はどのようなことを目指していきますか。

渡辺惣吉さん:仕事が少ない時も通常のスピードで終わらせて機械を止めたり、1ヶ月の仕事を3週間で終わらせるようなチャレンジもできるようになりました。視点が変わると会社は変わりますね。技術屋の自分に対して3代目は管理について学んでいるので、技術に溺れるのではなく、次の未来のための人材育成や人脈作りができる仕事ができるようになったと感じています。

渡辺琢也さん:人や雰囲気は創業当時から大きく変わってはいません。多くの賃金を支払えるようになったわけでもありません。「この会社に入って、初めて遊ぶために有休をとった」という社員がいました。新入社員に「なんとかしてくれる会社だよ」と話してくれた人もいます。自分としてはそんな当たり前が浸透してくれることが嬉しい。有休なんて遊ぶために使って欲しいし、自分の人生のために仕事をやり繰りして、自由に生きて欲しい。会社としてはまだまだ発展していきたいと感じていますので、自由に働ける環境を維持するための仕組化も検討しながら、新しい時代にも対応できる体制を作っていきたいと思います。

まとめ(編集後記)

新しい働き方を取り入れることで技術を守ることに繋がっていたり、ひとりひとりの働きがいを考えることの意義の大きさを実感したりと、ユニークな取り組みから学ぶことはたくさんありました。新しいチャレンジを会社が応援してくれる、自分の価値が幅広く認められてそれが会社のためにもなるという循環が生まれそうだと感じました。