国道や県道・市道などの道路標示に関わる各種工事および道路交通安全施設用資材などの販売を通して、社会活動の拠点となる道路の安全・安心を守る「交通施設工業株式会社」。自家用車の普及が劇的に進んだ1970年代に創業以来40年以上、技術の高い職人の育成に力を注ぎ、人々の生活を支えてきました。
2020年には「みちのくEMS」「女性のチカラを活かす企業」の2つの認証を取得。今回の「働き方改革実践企業」認証取得も通して、足りない部分が浮き彫りになってそれを改善できたり、新たな課題を見つけることに繋がっていると言います。ひとつひとつ取り組む中で解決できた課題や見えてきた課題、今後のビジョンなどについて伺いました。
「社会の変化に対応し、進んでいかなくてはならないと感じています」と明石庸生さん
明石庸生さん:「みやぎ働き方改革」の宣言に際してメインで取り組んだのは計画年休の導入です。もともと有休は取得しやすい環境だったとは思うのですが、実際の取得は人によって偏りがありました。回覧などで取得を促しても、計画的に取れなかったりギリギリの時期になったりがあったので、確実に休みを取ってもらえるよう工夫したという形です。
作業時間や出勤日数、休日を年間計画として作成していますので、そこに繁忙期を避けたゴールデンウイークやお盆、年末年始など長期休業に合わせて長めの連休になるよう年休を入れました。もちろん変更の希望もあればできるだけ対応します。最低限の取得についてこちらから伝えやすくなったこと、従業員からも希望を出しやすくなり、よりコミュニケーションが取れて偏りが無くなったことが成果と言えるかもしれません。
交通量の少ない時間帯の作業がメインであり、それを前提とした課題解決が必要とのこと
明石庸生さん:市民の生活に直結する道路の工事は、工期をしっかり守るのは当然のことですが、発注元の都合や思わぬトラブルなどで調整が難しいことも多々あります。日報で残業や休日出勤の詳しい状況はしっかり把握していますが、改めて解決が難しい問題だと痛感しております。働き方改革に取り組んでみて、大きな課題であることが浮き彫りになりました。
他の認証を受けた際も、やはり同じように浮き彫りになった課題があり、それをどう解決するかということにひとつひとつ向き合ってきました。このような取り組みは社内での課題共有にも役立ち、労働環境改善に大きなメリットがあると感じています。今回解決できなかった課題にも、真摯に向き合い、解決の糸口を見つけていきたいと思います。
明石庸生さん:事務作業の効率化は工夫次第で大きく改善できる点だと考え、IT導入や作業内容の見直しを進めています。手計算で行っていた積算はソフトを使っての作業にすべて切り替えたことで、大きく効率がアップしました。今後は日報をスマートフォンやiPadで入力できるようにすることで、従業員の負担軽減や管理の効率化にもつなげたいと考えています。
「女性のチカラを活かす企業認証」の際にポジティブアクションについて取り組みましたが、ひな形で示されている内容にプラスアルファの制度を加えることが出来たり、「みちのくENS認証」の際は環境に影響のある資材の保管方法や保管庫の整備などに取り組み、働き方にも当然良い影響がありました。新たな機会を得て、従業員皆で考えることができていることは前進だし、そのこと自体が他の課題解決にも繋がると感じています。
清掃活動に取り組む「スマイルサポーター」。暮らしやすい街づくりを目指しています
明石庸生さん:建設業界全体の課題でもあるのですが、若手、女性の参加を進めていくことはとても重要です。制度が整ってきているので、次はより魅力ある職場づくり、そして働きがいをつくっていきたい。社会に大きく貢献できる仕事なので、その意義をしっかりアピールする力も必要であると考えています。若手や女性社員の力も借りて、それを実現していければと思います。
CSR活動として地域清掃にも長く取り組んできていますが、仕事だけでなくこのような活動も活かして多様な視点から街づくりに関わっていくことで、従業員の働きがいにも繋がって欲しい。従業員あっての会社です。皆がやって良かったと思える取り組みができるよう、これからも前向きにトライしていきます。
働き方改革に取り組む根底には「同じところに留まっているわけにはいかないという思いがある」と語られていて、新しい未来への強い決意が伝わりました。公共のインフラに関わる仕事は「街づくり」そのものであり、その仕事に携わる人たちが安心・安全に活躍して頂くためにも、働き方改革への取り組みは必要であると感じた取材でした。